なぜなぜ分析10則
「なぜ」を的確に繰り返していくためには、囲碁や将棋と同じようにコツ(定石)が要ります。
まず、「なぜ」を繰り返す前に、当たり前のことをしっかりやっておかなければなりません。意外にこれらができていないにもかかわらず、「なぜ」の繰り返しに入ってしまうケースが多いようです。
なぜなぜ分析に入る前に勝負は決まる?! 事前チェック① 原因追求と対策を要する課題の抽出 事前チェック② モノゴトを見極めて絞り込む 事前チェック③ 分析する事象の表現に気をつける 事前チェック④ 原因追求すべき対象をしっかり把握する 事前チェック⑤ 前提条件を確認する |
準備ができたら、「なぜ?」を、まさに論理的に、しかも漏れなく、そして狙い通りに繰り返していきます。ただし、「なぜ」を表現したり、繰り返していく上で、多くの落とし穴が待っています。それら思考の落とし穴を避けながら展開していかなければなりません。
囲碁や将棋といったゲームと同じように、頭の中で、出てきた「なぜ」のつながりを局面ごとにパターン化し、そのパターン化した「なぜ」が別の事象で「なぜ」を繰り返す時にスムーズに出てくるようになるまでには、それなりの場数が必要です。
「なぜ」の繰り返しを、論理的に、漏れなく、狙い通りに展開するための定石 第1則:「現象」や「なぜ」は、ワンカット表現にする 第2則:出だしの「なぜ1」は発生部位・形態に着目し、発生原則(条件)をもとに表現する 第3則:逆に読み返しても、順序良く論理がつながるように「なぜ」を展開する 第4則:並列の「なぜ」が全く発生しなかったら、前の「なぜ」は発生しないかをチェックする 第5則:分析の狙いを踏まえた「なぜ」を展開する 第6則:誰もが同じイメージできる「なぜ」を表現する 第7則:形容詞を使う場合は、比較の対象を明確にする 第8則:個人的な話(臨床心理面)には「なぜ」で踏み込まない 第9則:再発防止策が見出せるまで「なぜ」を繰り返す 第10則:現場・現物で「なぜ」を検証する |
詳細については、ここでお伝えできる分量ではありませんので、ぜひ「「なぜなぜ分析10則」(小倉仁志著、日科技連刊)をご覧ください。
2020年度の言葉
失敗の原因追究に管理職も入って、自ら改善策を出す |
皆さんは、失敗を当事者だけに関わる問題で済ましてはいないだろうか。
失敗に至ったいきさつをはっきりさせて、なぜ失敗が発生したのか掘り下げていくと、ほとんどの失敗は当事者の関わる問題だけでなく、業務全体あるいは管理職の関わる問題もあることに気づく。
失敗というのは、会社や職場の脆弱な部分が、たまたま形になって表れてきたに過ぎない。
優れた管理職ほど、部下の失敗を見て、自らが関わる問題にも気づき、すみやかに改めていく。
管理職が自ら関わる問題に気づかず、失敗した当事者や関係者を攻めるのは論外である。
次回失敗しないためにはどうしたらよいか、管理職と当事者が一体になって、全員分の改善策を出すつもりで原因追究を進めることが大切だ。
コロナ禍により新たな取り組みが始まった職場や企業も少なくない。新たな取り組みの中での失敗であればなおさら、失敗の当事者と管理職が一緒に考えていく。
いち早く業務全体を変えていけるかどうかが、企業の生き残りの成否のカギを握ることはいうまでもない。
2020年8月12日 小倉 仁志